「震災とインターネット -iSPPによる情報支援の取組」(情報支援プロボノ・プラットフォーム代表理事 酒井 紀之 様)

「震災とインターネット -iSPPによる情報支援の取組」

情報支援プロボノ・プラットフォーム代表理事 酒井 紀之 様

<講師プロフィール>

日本大学工学部卒業。
株式会社ソフトウエア開発代表取締役社長
iSPP情報プロボノプラットホーム代表理事
インターネットが日本に上陸する以前、東北で初の日本語BBS(電子掲示板)を開発し開局。宮城県、仙台市と協力し、東北におけるインターネットの普及活動を行う。その一環としてNAViS株式会社仙台ソフトウエアセンター技術顧問として自治体ネットワークシステムの構築に取り組み、産業技術研究開発事業東北経済産業局審査委員、名取市情報システムアドバイザーなどを経験。震災後被災地支援のためiSPPに参画。専門分野はサーバー構築、ソフトウエアの開発であるが、システムエンジニアの経験から、現在は主にITアーキテクト、自治体ITコンサルタントとして活動している。

iSPPは、プロボノという名称をもっており、メーカーや各企業の立場役職を超え個人のスキルを被災者(震災のみならず)へ提供していこうというものです。一般の支援と違い、自治体への支援も行っています。通常はライバル企業の社員も問題解決にあたっていく組織です。

代表理事4名代表理事 会津泉 岡本真 酒井紀之 松崎太亮、副代表理事、会田さん、理事には柴田先生も参加頂いています。

このような経過経てISPPは活動をしています。被災自治体への支援を行っています。

今回は、住民を助ける自治体自体が被災しています。この中で、情報支援活動、被災地の嘆きを紹介します。名取市の情報アドバイザー等努めている中の話です。

情報が何も手に入らなかった。これは、電話やTVではなく、難視聴でTVもラジオもダメ、何もメディアを使う事ができなかった。避難したもののテレビも映らない、何も情報が入らず孤立した。私たちの地区では1週間自立できる食料や仕組みが必要だと思います。

  • 避難所にインターネット回線がない。
    県や市はWeb上に資料があるから見ろと言うが、インターネットが避難所では使えない(各避難所)。自治会で使わないところがある。機械の設置から操作説明まで終わらないと使わない。現場はPCが欲しいと言う。私どもは、現地へ向かいメーカーや地元企業に協力を得て設置してきた。それでも設置しても使わない事もあるが、置いてくる事が重要。無駄になっても良い。
  • 光回線網を整備したばかりなのにすべて流され落胆した。
  • 内線電話がなく窓口が一本化できない。
    電話数本だけで対策本部や仮設住宅の窓口を運用せざるをえない。費用の問題から内線が整備できず、外線電話だけで受付。
  • ベンダー担当者と連絡がつかない。
    サーバの面倒を見ていた担当者が対応しきれない。
  • 災害関連のシステムがシャットダウン。
     2度目の震度6強、電源の切り替えに時間がかかってしまい、UPSの電源がもたずシャットダウンした。正常停止で問題ないが、起動する職員がおらず、停電のさなか車でかけつけて起動した。
  • Webページが重い。
     ポータル構造になっているため、リンク先が重く苦情が発生。

 

インターネットが使えたか?

この数字を見てください。
震災当日に19.5%まで減となり、1週間で52.8%復帰しました、震災時は停電したが、停電なければインターネットで情報収集したのではないか。TVと同様に普及している。

震災後、どのページを見ているか。
自治体のHPを見ている。多くの自治体ではWebページがダウン・もしくは更新不能に陥っていました。
地震による設備の倒壊、津波や原発による被害で復旧・更新不可能、長時間の停電により電源が確保できない。自家発で立ち上げたものの、回線が不通。(名取市もそうです。)

72時間のタンクに12時間しか燃料がなかった。
サーバーが東京でコンテンツが届けられない。
NHKテレビでURLが流されるとアクセスが増大する。
TVを補完するメディアとなっている。リンク先(県警)の回線の帯域が細くボトルネックに。今後の課題。
Webを作る担当は広報なので発信できない。

原発事故について
ここで「人づて(口コミ)」が多いのは、ICTに携わるものとして恥ずべきことではないかと思います。

情報支援活動から得た教訓としては、
電源の喪失、衛星携帯電話。
携帯電話への期待/不満、つながらない。
失望感が大きく孤立感、
最新技術への更新ができていなかった。
171伝言板は、そこに電話が繋がらなかった。
被災者支援システム(LASDEC)カスタマイズに時間がかかる。
課題が多い。
特定ベンダー、特定OSなどへの依存。
情報系の「演習」の実施が必要。

提言ですが、実現した連携を維持、行政とNPO、民間、対口支援先との絆を維持して欲しい。

私たちは今後、情報の発信ふるさとネット放送や新しいビジネスサービスの創出自治体NPOとの連携の推進、東北でのクラウドの推進、スマートフォンの推進、被災に強い情報システムの推進の提案を続けていきたいと考えています。プロボノ組織は何方でも参加可能です、ぜひ皆様のご参加をお待ちしています 。

ありがとうございました。

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